『けだもの組合』(1930)

マルクス兄弟DVDBOX

『けだもの組合』(1930)
ANIMAL CRACKERS

アメリカ・97分】

監督: ヴィクター・ヒアマン
脚本: ピエール・コリングス
脚色: モリー・リスキンド
撮影: ピエール・コリングス



『御冗談でショ』(1932)
HORSE FEATHERS
アメリカ・67分】

監督: ノーマン・Z・マクロード
脚本: バート・カルマー、ハリー・ルビー、S・J・ペレルマン
撮影: レイ・ジューン


『我輩はカモである』(1933)
DUCK SOUP
アメリカ・69分】

監督: レオ・マッケリー
脚本: バート・カルマー、ハリー・ルビー
撮影: H・シャープ
出演: グルーチョ・マルクス、チコ・マルクス、ハーポ・マルクス、ゼッポ・マルクス

チコのピアノ、ハーポのハープ、グルーチョの気の利いた冗談にはさまれる独白あるいは観客への呼びかけ、そしてミュージカル的な演出、限定されたシチュエーション内部の人間が身体を大いに用いて演じる演技すらも、まるで舞台で演じられる演劇のようである。ここでは、スタジオ内に用意された巨大セットの手前に設置され、客席にいる観客の視線を特権的に代理してみせるカメラが、フレームによってステージを切り分けるのである。

しかし、それは時に、「観客の視線の代理」を超越し、我々を騙しさえもする。それは、カードゲームをしていたハーポが、アクションマッチによってなめらかに繋げられた続くショット内にて、隣の女性のハイヒールに履き替えている、そして女性のセリフ「私の靴がないわ!」において露わになる。そこで、明らかにカメラは一度停止し、設置場所を変え、役者は靴を履き替え、同じ演技を繰り返したのだ。これは、非常に奇妙な対立である。そしてそれが、コメディにおいて用いられたことが、非常に意味深なような気がする。