『続・激突!/カージャック』(1974)

卒論の即席仮タイトル、「スピルバーグの冒頭、光と影」
ユリイカのパクリです。書けるもんか!

『続・激突!/カージャック』(1974)
原題:THE SUGARLAND EXPRESS
アメリカ・110分】
監督: スティーヴン・スピルバーグ
製作: リチャード・D・ザナック/デヴィッド・ブラウン
原案: ハル・バーウッド/マシュー・ロビンス/スティーヴン・スピルバーグ
脚本: ハル・バーウッド/マシュー・ロビンス

『激突!』に比べて角度が増え、よりコメディー色が出ている。
一対一の見えない敵とのカーチェイスだった前作に対し、本作では一台のパトカーに若い男女の夫妻(ジャックする)、そして頭の切れる警官(ジャックされる)が乗り込む。後ろから追いかけるパトカーの集団に対して一人難民となった警官の、幼さ丸出しで自由奔放に振舞う感情的な妻、妻の言いなりだが妙にカンが鋭い夫、その二人の敵の集団に属する人間でありながら彼らを見守りときには助言を与える、その位置が面白い。

そして前作では観客の感情移入という歩み寄りなしには成立し得なかったスペクタクルを、逃げる3人を追うキャラクターの豊かさによって見事に成立させている。追い続ける警部の心境の変化はもちろん、突如として登場しては跡形もなく消えていく他州の警官、(カージャックした妻)ジーンの父、警察オタク、子ブタ。ジーンの幼い息子を里子という形で奪い取った老夫婦という別世界も映画に広がりをもたせている。

そもそもの冒頭部分を考えてみる。
服役囚更生訓練所へ訪れたかわいらしい女、服役囚の妻であると名乗る、見るからにダメな夫との再会、別れ話、この辺りでこの女性は前科もちのだらしない男にだまされ結婚したが愛想がつきて離婚を申し込みに来た、タイトルの「カージャック」(更にはパッケージの写真までも)からして被害者であろう、というミスリーディングを誘う演出がなされる。ところが彼女の不可解な行動を境に女の強さ、行動力があらわになり、彼女こそがカージャック犯であったことが明らかにされる。計画的だぁ。


ヘキサゴン(字幕スーパー版) [VHS]

ヘキサゴン(字幕スーパー版) [VHS]

『ヘキサゴン』(1971)
原題: SOMETHING EVIL
邦題: 恐怖の館(TV)/悪霊・異次元を覗いた人妻(TV・別)
アメリカ・74分】
監督: スティーヴン・スピルバーグ
製作: アラン・ジェイ・ファクター
脚本: ロバート・クローズ
撮影: ビル・バトラー


こんな撮影、こんな編集、思いつかない、意欲作。
ポルターガイスト』の予兆。
飛び跳ねるように唐突な省略のリズムが心地いい。