『TOKYO!』(2008)
■シネマート心斎橋にて
『TOKYO!』(2008)
【アメリカ・フランス・韓国/110分】
●「インテリア・デザイン」
監督: ミシェル・ゴンドリー
脚本: ミシェル・ゴンドリー
もともとセリフやら演技やらに違和感を散りばめているけれど、前半の抑圧をあえて抑えることによって突如椅子に変わるという違和感を誇張したのかな。(ポン・ジュノもやってたけど、)『エターナル・サンシャイン』で繰り返された、1ショット内で人物がさまざまな場所に移動する、という撮影方法が見られるし、アニメーションも過去作品と同じことを繰り返していたような。カメラがバックしながらひとつなぎで語らせる部分はすごい気持ちよかったけど、画面の面白さに頼りすぎの気も少しだけした(気がする)。大森南朋は久々によかった。
東京(日本)→包む、折り紙、猫の死体、物件、ホンダ、駐車場
●「メルド」
監督:レオス・カラックス
脚本:レオス・カラックス
冒頭から画面がエネルギーにあふれていて、ドニ・ラヴァンの堂々とした歩み、カメラワークはまさにフランスから上陸してやったという感じ。障害者が繰り返し登場し、さらにはオウムまでもさらりと描いてしまうあたりが非日本的だし、3年後ようやく死刑が執行される(しかも殺せず逃げられる)というのは皮肉なのかな。わけのわからない言葉への通訳でつまづく滑稽さと、そのバカバカしさに負けていない石橋蓮司が良い。
東京(日本)→ゴジラ、国旗、マンホール、ケータイ、菊、オウム、歩道橋、紙幣、死刑
●「シェイキング東京」
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ
照明: 市川徳充
10年ひきこもった男が外に出る、この設定は決して嫌いではなく、振り返って自宅を眺めることによって自身の客観視と10年という時間の経過を同時に感じ取ってしまうのを主観で捉えるあたりなど、感情移入を選んだ部分ではものすごく感動したけど、やっぱ扉を超える瞬間はもっと良い演出をとるべきだった。
東京(日本)→ひきこもり、下町、寿司、お金
■家にて
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2006/12/08
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (3件) を見る
原題:TO BE OR NOT TO BE
【アメリカ・100分】
監督: ハワード・ホークス
製作: ハワード・ホークス
原作: アーネスト・ヘミングウェイ
脚本: ウィリアム・フォークナー/ジュールス・ファースマン
撮影: シド・ヒコックス
出演: ハンフリー・ボガート/ローレン・バコール
男女ともキメまくり。計算どおりに運ばれるセリフの意図が多少見えすぎの気もするが、本当にキレイに組み立てられている。
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- 発売日: 2006/06/23
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 51回
- この商品を含むブログ (96件) を見る
原題:SCHINDLER'S LIST
【アメリカ・195分】
監督: スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮: キャスリーン・ケネディ
原作: トーマス・キニーリー
脚本: スティーヴン・ザイリアン
撮影: ヤヌス・カミンスキー
出演: リーアム・ニーソン/ベン・キングズレー/レイフ・ファインズ
くりかえされる扉の開閉、象徴的な赤い服の少女と蝋燭の炎。
シンドラーという人物を、感情移入を排した演出によって、美化するでもなく取り上げている。否応無く撃ち殺される人々の一連の殺害しーんの中で、拳銃の故障によって運よく生き残る人物がいるのだが、彼が(他の犠牲者と同じように一瞬で)殺されず最後まで生き残ることで、生死の分かれ目の重大さがいっそう際立つ。ドイツとユダヤの二人の少年の賢い活躍が映画に平穏と喜びをもたらす。