『HOOK』

『HOOK』
観ているうちに敷居を下げさせてしまう。あつくるしく恥ずかしいセリフを並べ立てられ、それでも、見えない食卓が視覚化された瞬間とてつもないカタルシスを感じてしまったりもする。こういうの好きだけどなあ。


ヒストリー・オブ・バイオレンス [DVD]

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ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005)
A HISTORY OF VIOLENCE
アメリカ/カナダ・96分 】
監督: デヴィッド・クローネンバーグ
原作: ジョン・ワグナー/ヴィンス・ロック
脚本: ジョシュ・オルソン
編集: ロナルド・サンダース
音楽: ハワード・ショア
出演: ヴィゴ・モーテンセン/マリア・ベロ/エド・ハリス/ウィリアム・ハート/アシュトン・ホームズ

まず、ヴィゴ・モーテンセンとアシュトン・ホームズの顔がいい。どちらにでも転向できる恐ろしさを秘めてる(そしてかっこいい)父親と息子の、それぞれの世界で同じ展開が成立してしまうわかりやすさもいい。

冒頭から、日常に潜む鮮やかな暴力というホラー。それを演出させた男たちをさえ軽々と殺してしまう唐突さが、何映画なのかを混乱させ、すごく気持ちがいい。一番よかったのは階段でのセックスシーン、あのエモーションはすごすぎる。その直後に登場する妻の、後ろから前からの全裸、なんなんだろう、殴られた気分。前半、これでもかと家族の平穏ぶりを見せつけその危機を浮き彫りにし、ヴィゴ・モーテンセンが善なのか悪なのかで振り回すことでとことん楽しませてくれ、しかし終盤、彼の顔が暴かれた後の展開は少し足踏み気味でなえてしまったものの、ラストはああでなくてはいけないといった沈黙の説得、見上げるという救い、結果的にとても好きな映画でした。


ピアニストを撃て』(1960)
原題:TIREZ SUR LE PIANISTE
【フランス・88分】
監督: フランソワ・トリュフォー
製作: ピエール・ブラウンベルジェ
原作: デヴィッド・グーディス
脚本: フランソワ・トリュフォー/マルセル・ムーシー
撮影: ラウール・クタール
音楽: ジョルジュ・ドルリュー
出演: シャルル・アズナヴール/マリー・デュボワ/ニコール・ベルジェ



殺人カメラ (トールケース) [DVD]

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『殺人カメラ』(1948)
LA MACCHINA AMMAZZACATTIVI
【イタリア・83分】

監督: ロベルト・ロッセリーニ
製作: ロベルト・ロッセリーニ/ルイジ・ロヴェーレ
原作: エドゥアルド・デ・フィリッポ/ファブリッツィオ・サランザーニ
脚本: ロベルト・ロッセリーニ/セルジオ・アミディ/ジャンカルロ・ヴィゴレッリ
撮影: ティーノ・サントーニ/エンリコ・ベッティ・ベルッティ
音楽: レンツォ・ロッセリーニ
出演: ジェンナロ・ピサノ/マリリン・バッファード/ウィリアム・タッブス


人間がいきいきしていて気持ちがいい。導入による世界観の構築によってユーモアを成立させ、ラストまで、全部元通り、でメロメロにさせて納得させてしまう。かなりのキャラクターが出てくるのだけどそれらをきちんと使いこなし、まさに「殺人カメラ」だけで1時間もたせてしまえる部分に、まず尊敬です。狂気あふれる不快感あふれる映画にもだえる一方で、悪夢を夢で終えられてしまうものに涙してしまうなあ・・。