『トプカピ』(1964)
『トプカピ』(1964)
TOPKAPI
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2010/05/21
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
【アメリカ・120分】
監督: ジュールス・ダッシン
製作: ジュールス・ダッシン
原作: エリック・アンブラー
脚本: モンヤ・ダニシェフスキー
撮影: アンリ・アルカン
音楽: マノス・ハジダキス
出演: メリナ・メルクーリ、ピーター・ユスティノフ、マクシミリアン・シェル、ロバート・モーレイ、エイキム・タミロフ、ジェス・ハーン、ティトス・ヴァンディス
『ミッション・インポッシブル』の元ネタなんだろうな。
登場人物が一気にガヤガヤ出てきたのがちょっと難しいところではあったけど、うまい。トプカピ宮殿に忍び込むシーンの緊張感は耐えられないくらいだったのに、成功した途端に、「鳥」によって有無を言わさず終わってしまうのも楽しい。音の使い方も斬新だし、複線になっていて面白い。
『狼どもの報酬』(1972)
『狼どもの報酬』(1972)
LAISSE ALLER...C'EST UNE VALSE
TAKE IT EASY ITS A WALTZ
【フランス・105分】
監督: ジョルジュ・ロートネル
脚本: ジョルジュ・ロートネル、ベルトラン・ブリエ
撮影: モーリス・フェルー
音楽: レ・クリニック
出演: ジャン・ヤンヌ、ミレーユ・ダルク、ミシェル・コンスタンタン、ベルナール・ブリエ、ナンニ・ロイ
やりたいことを全部好き勝手にやっている、最高のパラダイス映画。
ラストにも痛烈なギャグを忘れない精神がめちゃめちゃ羨ましい。
途中、バンバン人が死んでいっているのに、効果音とテンポのよさが
残酷なイメージを残すことを許さないので、楽しい。
久しぶりに良い映画をみつけたww
デヴィッド・フィンチャー
『セブン』(1995)
SE7EN
- 出版社/メーカー: ギャガ・コミュニケーションズ
- 発売日: 2007/11/02
- メディア: DVD
- 購入: 3人 クリック: 76回
- この商品を含むブログ (99件) を見る
【126分/アメリカ】
監督: デヴィッド・フィンチャー
製作: アーノルド・コペルソン、フィリス・カーライル
脚本: アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
撮影: ダリウス・コンジ
出演: ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー、ジョン・C・マッギンレー
謎に包まれていた犯人が、刑事とともに「死体」を隠したとされる場所へ向かう車内で突如として饒舌になるのだが、そのシーンが異常に長い。
その中で、ほとんど同じショットを一定の速度で切り替える画面の単調さは、しゃべればしゃべるほどに「謎めいた恐怖」を打ち消してしまう犯人を、狂気に満ちた異常者から刑事と同じ目線に立つ1人の一般人へと変化させてしまう。
犯人の意図が明白化した途端に映画が終わるという明快な終幕を前にして、「意図」を隠した犯人の人間味を表面化させるこの長いシーンは、
めまぐるしくスタイリッシュなフィンチャーの映像にあっては、その単調さが目立つばかりか、一身に「謎解き」へと突き進んできた映画全体のリズムを破壊してすらいるのではないか?
脚本は非常に面白いと思うが、何かバランスの悪い印象を受けてしまった。
『ゾディアック』(2006)
ZODIAC
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2007/11/02
- メディア: DVD
- クリック: 49回
- この商品を含むブログ (124件) を見る
【アメリカ/157分】
監督: デヴィッド・フィンチャー
原作: ロバート・グレイスミス
脚本: ジェームズ・ヴァンダービルト
出演: ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr、アンソニー・エドワーズ
実際にあった事件を元にしているからなのだろうけど、映画の中盤まで
物語を語る視点の軸がぶれまくっている。だから、もともと交錯している物語そのものが頭に入らず、理解が追いつかない(うちだけかな?)
ロバート・ダウニー・Jrが戦線を離脱してからようやくジェイク・ギレンホールに視点が定まったという印象を受けた。
でも、それから後は、約30年の時間を飛び越えてしまう強引さと、時の流れを視覚的に説明する簡素さがあっぱれで楽しい。
ジェイク・ギレンホールが事件の調査にハマっていくに連れて、だんだん顔中ヒゲに覆われていったあげく奥さんに愛想をつかされるなんてわかりやすすぎる!
そんな風に、サスペンスが大きな基盤になってはいるものの、コメディーを交えたチープな雰囲気が笑えるので2時間半という長い時間も耐え抜ける。さらに、明らかにならないままに取り残された「事実」が、映画に華を添えている。
ひまでひまで仕方がない湿っぽい雨の日にもう一回見たくなりそう。
(ていうか映画って、そういう日に見た作品の方が「名作」を見た気になりそう。)
デヴィッド・フィンチャーとデヴィッド・クローネンバーグだったら
絶対クローネンバーグの方が好きだろうな。
『脱獄十二時間』(1958)
『脱獄十二時間』(1958)
DAUZE HEURES D'HORLOGE
【フランス・102分】
監督: ゲツァ・フォン・ラドヴァニ
製作: ピエール・オードイ
脚本: ゲツァ・フォン・ラドヴァニ
撮影: アンリ・アルカン
音楽: レオ・フェレ
出演: リノ・ヴァンチュラ、ハンネス・メッセマー、ローラン・テルジェフ、シュジー・プリム
脱獄までの過程が非常に簡素であるにもかかわらず、後から登場人物らの背景が明らかになっていく様子が、コミカルタッチを含めて爽快に楽しめる上、感情移入もしやすいため、サスペンスに満ちているといえる。
3人の脱獄囚たちが交錯がやはり簡素で、ムダがない。
タイトルにあるような「12時間」という緊迫した時間への執着こそ目立たなかったが、102分間充分に楽しませてくれる傑作だと思う。
『ボヴァリー夫人』(1989/2009)
『ボヴァリー夫人』(1989/2009)
SPASI I SOKHRANI
SAVE AND PROTECT
MADAME BOVARY
【ロシア・128分】
監督: アレクサンドル・ソクーロフ
原作: ギュスターヴ・フローベール
脚本: ユーリー・アラボフ
撮影: セルゲイ・ユリズジッキー
衣装: クリスチャン・ディオール
音楽: ユーリィ・ハーニン
出演: セシル・ゼルヴダキ、ロベルト・ヴァープ、アレクサンドル・チェレドニク、ヴィアチェスラフ・ロガヴォイ
【解説】
「1989年製作の本作は、20年後の2009年10月に、監督自ら再編集したディレクターズ・カット版にて本邦初上映が実現した。」
ソクーロフの繊細さはよくわからない。
『マーニー』(1964)
『マーニー』(1964)
MARNIE
【アメリカ・129分】
監督: アルフレッド・ヒッチコック
製作: アルフレッド・ヒッチコック
原作: ウィンストン・グレアム
脚本: ジェイ・プレッソン・アレン
撮影: ロバート・バークス
音楽: バーナード・ハーマン
出演: ショーン・コネリー、ティッピー・ヘドレン、マーティン・ガベル、ダイアン・ベイカー、マリエット・ハートレイ、ブルース・ダーン
ヒッチコックって、こんなにくっきり画面に登場してたんだ。
『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』(2009)
【日本・114分】
- 作者: 「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」製作委員会
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2009/09/26
- メディア: 単行本
- クリック: 10回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
監督: 根岸吉太郎
原作: 太宰治
脚本: 田中陽造
撮影: 柴主高秀
出演: 松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一、光石研、山本未來、 鈴木卓爾、小林麻子、信太昌之、新井浩文
明らかに俳優と配役の年齢の差が開きすぎているにもかかわらず、それに有無を言わせない説得力が備わっている。なにより、「太宰節」を損なうことなく活かしていた田中陽三と、ショッキングな編集、かっこよすぎる浅野忠信が素晴らしい!
クロースアップが活かされた作品なので、映画館で観るべき。
DVDなんかじゃもったいない。
『空気人形』(2009)
- 作者: 業田良家
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/02/01
- メディア: コミック
- 購入: 4人 クリック: 31回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
監督: 是枝裕和
原作: 業田良家 『空気人形』(小学館刊『ゴーダ哲学堂 空気人形』所収)
脚本: 是枝裕和
撮影: リー・ピンビン
編集: 是枝裕和
出演: ペ・ドゥナ、ARATA、 板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了
誰がみても失敗作。(イメージビデオ?)
原作のマンガであれば、絵のタッチやコマ割などで伝えることができていたであろうその世界の中のルール、いわゆる「ジャンル」の世界観を、説明しそこなっている。ペ・ドゥナを用いることで描き出せていたその無垢で特異な存在である“空気人形”を、周囲の人物たちがどのように対処するのか、そこの軸が常にぶれ続けている。ペ・ドゥナ自身は“人形”であるという正体がばれないようファンデーションを塗ってみたり、人間を観察したりするのだが、それを観客に執拗に強調するにもかかわらず、周囲の人物はペ・ドゥナの正体を知ってもさして驚きはしない。ましてや、いつも側にいて彼女を見つめ続けているはずの板尾創路は、明らかにペ・ドゥナの人間の姿への変化に気が付かないにもかかわらず、ついに彼女が彼に話しかけたとき、彼は多少驚くばかりで、「なぜ」なのかを正当に尋ねようとはしない。もし逆に「空気人形」が心を持つことは、この映画内部では「不思議」ではないというファンタジーを描きたいのならば、ARATAとのデートや、レンタルビデオ店でのリアルさの強調は逆効果なはずだ。(しかも物語を遅延させすぎてる。)
もはやスクリーンの中に感情移入できる対象などいない。
それで「もたせる」には、あまりに陳腐すぎる作品だった。